巨人退団入団情報まとめ(2020年シーズン終了直後)
#支配下退団選手一覧
*パーラに関しては来期契約しないとの情報で退団濃厚
#育成退団選手一覧
#ドラフト入団含む支配下選手一覧
外野手が少ないので2~3名補強するものと思われる。
あとは投手に1~2名といったところだろうか。
*菅野に関してはポスティングでメジャーへの移籍の可能性あり
* ウィーラーに関しては残留交渉を行うとのこと
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育成選手に関してはリハビリ組を差し引いても現時点で去年より多い。
育成外国人がいなくなったので海外トライアウトなどでさらに増える可能性も。
ホークス圧勝に思う三軍制度の重要性
あまりにも一方的だった。戦術や戦略とか以前に戦力が違う。2年連続日本シリーズ4タテでの敗北。もうちょっと戦い方はあっただろうと思うけれど、付け焼き刃ではひっくり返せそうもないとも同時に思う。
ホークスの選手層の厚さを下支えしているのは、2011年から開始した3軍制度にあると思っている。2020年の日本シリーズロースター40人中7人が育成選手出身で、開幕投手を務めた千賀、2戦目に先発した石川柊太、扇の要甲斐、圧巻のリリーフを見せたモイネロ、スピードスターの周東、ユーティリティプレーヤーの牧原と、スタメンに名を連ねる面々でただの数合わせ戦力ではない。この育成出身者は漏れなく3軍での生活からスタートしており、他の育成選手、ファームの選手との生存競争に勝ち抜いてきた。
2011年、ホークス3軍一期生の中には千賀、甲斐、牧原が含まれている。千賀と牧原は2012年に支配下登録を勝ち取ると同時に1軍デビュー、甲斐はそれより2年遅れの2014年に1軍デビューを果たした。
千賀はストレートに魅力があったものの線の細い投手で、一般的なプロの練習にも耐えられないほどだったそう。そのためフィジカル強化を中心に3軍でトレーニングを続けるうちに、140km台だった球速が150km台まで大幅アップしたそう。
さらに千賀は代名詞とも言えるお化けフォークも習得し、チームの看板投手へと成長した。しかしホークスの育成チームは千賀がまだ伸びると信じ、無理な起用は避けて育て続け、結果入団当初に惚れ込んだストレートは160km台に到達。見事に球界を代表する投手にまで至った。
千賀のサクセスストーリーを例に見ると、ホークスは3軍をただ組織しただけでなく、選手の可能性や育成目標をしっかりと決めているようだ。読んだ本によれば、2軍で活躍する事を目標とさせず、1軍出場、さらにはそこで主力となることを念頭に育てているらしい。支配下登録で満足しない育成。先に上げた育成出身の面々を見ると、確かにまだ成長する予感はするし、少なくとも来年衰えているという事は考えずらい。
さらに言えばその育成選手と比べられる才能豊かな支配下選手達である。こうした下からの突き上げがあるので、入団してあぐらをかいていたら1軍には簡単に上がれないだろう。現にホークスのドラフト選手はデビューに時間がかかっているように思える。成長が遅いといわけではなく、育成選手との競争原理で1軍に上げる判断基準が高く設定されているためだろう。聞いた事のない選手がいきなり他球団のエースから長打を放ったり、打線の主力を力でねじ伏せたり活躍できるのは、こうした土壌の賜物と思える。
ホークスに遅れる事5年、2016年に巨人も3軍制度を開始した。実は2011年にもう一つの2軍という名目で現在の3軍の前身はあったのだが、試合をこなすだけの運用になってしまい、人数合わせのために本来のポジションじゃない守備位置につかされるなどの有様で、育成できるような環境を築けず2年で解散してしまっている。
2019年にホークスの戦力差を肌で感じた阿部現2軍監督は、「2軍は読売ジャイアンツじゃない。読売巨人“軍”だ」という発言をした。表現はアレだが、打倒ホークスのためには2・3軍の底上げが急務だと実感したのだろうと思う。さらに2020年には血の入れ替えと称して現在の育成選手をバッサリと切り、ドラフトで大量の育成選手を獲得。2021年からは新期3軍として始動する見込みだ。先の2023年には2軍の新施設の完成が予定されており、育成環境のさらなる充実が期待できる。
2020年日本シリーズ、育成出身の増田大輝と松原が日本シリーズのロースターに名を連ねた。彼らは巨人の3軍でスタートした選手だ。主だった活躍をするには至らず、これがまだ巨人の育成力の現在地だろう。
怪我で出場の叶わなかったメルセデスも育成出身。他にも堀岡や沼田、ディプランが次代の育成出身選手として控えている。
しかし当面は今まで通りFAや外国人選手での補強を続けて戦力を整えるしかないだろう。新2軍球場のできる3年後までに、現在のホークスと同じくらい3軍制度が機能している事を望む。
参考図書
2020年日本シリーズ出場登録選手の所属年数比較
この後に書こうと思っている記事の前段ネタ。
試合を見ていてホークスの中堅どころの戦力がエグいなと思い、そもそも両チームどのくらいの比率なのだろうと思いグラフ化して比較してみた。なおここでいう中堅とは年齢ではなくプロとして活動しだしてからの年数を元に呼称している。
(グラフ内自は自チーム、他は移籍前の所属チームでの在籍年数の意)
巨人は中堅どころの人数がまぁ少ない。FAで獲得したりその人的で出て行ったりと、巨人で生き残るのは至難の道のようだ。近年では長野・内海・澤村などのベテランが移籍し、太田・和田・高田などのプロスペクトも他球団へと渡っている。
巨人在籍6年目以降の選手をピックアップすると、大竹、菅野、田口、今村、坂本、岡本、亀井、立岡の8名となる。
対してホークスは構成要素のバランスが良いように見える。ホークスからFAで出ていく選手というのは少ないように思えるし、FAで獲得する選手というのも近年は少ないように思える。他球団に所属していたのは川島、バレンティン、デスパイネぐらい(和田はメジャー挑戦の4年間がある)。最近はベテラン内川が退団を決めたけれど、彼はもともとベイスターズの選手だったので、生え抜き選手が主力を占めている事には変化なし。
ホークス在籍6年目以降の選手としては、二保、岩嵜、武田、和田、石川、森、千賀、バンデンハーク、嘉弥真、松本、笠谷、甲斐、栗原、高田、松田、明石、牧原、川島、中村、柳田、長谷川、上林、釜本、真砂…計24名。巨人の3倍である。
161年対269年、この数字は上記40人の在籍年数を足した合計の比較。言いたい事としては、ロースターを揃えるために球団として育成や保持にかけた年数がホークスは巨人より約100年分多いという事。これに他球団での在籍年数を加味したところで、263年対295年と30年分の差が残っている。言い方を変えると、巨人が100年分のキャリアを他球団の選手で補ってもホークスには中堅選手3人分届かないのである。
まだ2戦目を終えた段階だが、実際の日本シリーズを見てみると、そのくらいの戦力差はあるように思えた。控えの投手でも150㎞を超える球を投げるし、日本シリーズ初出場の選手に連日の4安打を打たれる。もちろん柳田をはじめとした以前からの主力も数多く健在。
方やこちらはエース菅野以外はポコポコ打たれ、打線の主力が抑えらえると即座に無力化。補強したウィーラーが一人気を吐いてくれているけれど、さすがにそれだけでは火力不足である。仮に山田哲人やソトが巨人に加わったとしてこの差を埋められるのだろうか?
対ホークスに関しては補強でどうこうなるレベルではない気がしており、そこを埋めるのはやはり自チームでの育成にどれだけ時間と金と人をかけられるのかになってくるのだと思う。つづく。
更新休止のお知らせ
仕事の方が多忙な事と近々引越しするため、しばらく更新をお休みいたします。
昨年無理に更新を続けていたら体調を崩した経験があるため、今年は健康第一でいきます。(Twitterではちょくちょく呟くかもしれません)
来週には落ち着いて更新再開できるかと思いますのでよろしくお願いします。
エース完封と4番の一発
巨人1-0阪神(東京ドーム)2020.08.19
阪神先発は高橋遥人。2週間前の対戦では、あのピッチャー増田登板の要因になる見事なピッチングで巨人打線を封じ込めた。
対する菅野も2週間ぶりに阪神と対戦。その時は勝利投手となっているが、6回にサンズに決めにいったスライダーをスタンドインされているので、投手戦が予想される手前警戒すべき相手となる。菅野は中5日での登板なので、どこまで投げれるかも注目だった。
高橋に対して、巨人は左を3人入れるオーダーで立ち向かった。といっても3人とも理由があって、不動のセンター丸に、菅野の女房役の大城、ライト守備が出来そうな松原といった配役なので、積極的に左を織り交ぜてきたかというと懐疑的。陽や小林がいたら右で固めたんじゃないかと思う。あとセカンド吉川大幾のチョイスが意外だった。最近の流れなら北村だろうけど、どんな思惑があっての大幾起用なのだろうか。
ライトに関しては石川という選択肢もあっただろうけど、前の試合でやらかしているので控えにまわっていた模様。抜擢された松原は、第1第2打席は粘ろうとするも空振り三振。第3打席で慣れたのか、センター前へチーム2本目となるヒットを放った。
打席での姿勢はこれで良いと思うのだけれど、三振の仕方が不格好なのと、盗塁が望まれるケースで走れなかった事には不満が残る。守備ではエラーがなく守備範囲も広めだったけど、捕球の仕方が危なっかしくて安心はできない。神宮で青木のセンターライナーを2塁打にした試合から変わってない印象だ。1軍の試合に出続ける中で成長してくれると理想なのだけれど、そううまくいくだろうかと期待と不安が。
チーム2本のヒットのうち、もう1本が4番岡本の一打。第2打席で高橋遥人の浮いたツーシームを逃さず捉え、左中間スタンドへ放り込む。先制と決勝点となる価千金の一本は流石4番で、良いところでしか打たない。それでもホームランダービー独走の17本目なので、現在長打率が.610と高い事からも、今年は長打狙いを心掛けての結果なのかもしれない。
巨人先発菅野は中5日とは思わせない、いつも通りの快調なピッチングを見せてくれた。この試合では1発が勝敗を左右する展開だったけれど、果敢にインコースを攻めてゾーンを広く使い、阪神打線を散発3安打に抑え込んだ。
四球も最終回にサンズに与えた1つのみで、ほとんどランナーがいない状況の安心したピッチングに終始し見事な完封勝利。打線が結局高橋遥人を攻略できていなかったので、こちらの先発が菅野でなければ落としていた試合だ。流石エース。
中でも対サンズには神経を使っていたように見えた。第1第2打席はスライダーを見せ球に使って、内外の投げ分けで抑え込み、ランナーを2塁においた第3打席では、球速遅めのスライダーで打ち損じさせて仕留めたように見えた。
第4打席は初級の渾身のスライダーで空振りが取れたため、その球がどこまで通じるかを試すように連投したら2球目と3球目は振らずにカウントが悪化し、立て直そうとしたらボールが外れて四球、といった具合だと思う。
様子から、菅野にはサンズを得意のスライダーで打ち取りたい気持ちがあるように思える。今後もこの対決を楽しみに見守っていきたい。
エースの完封と4番の一発という字面的には綺麗な形でカード初戦を奪った。
ただ復活したと思われた打線がまた下降線を辿っているので、パーラ不在の今またテコ入れが必要だと思う。そろそろ坂丸を戻した方が良いんじゃなかろうか?
菅野はこの試合完璧だったけれど、中5日での登板だったので、疲労を残さず来週の登板を問題なくこなせるかで真価が問われると思う。
とにかく1勝。中日との負け越しを引きずらずに良かった。
以上。