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ホークス圧勝に思う三軍制度の重要性

あまりにも一方的だった。戦術や戦略とか以前に戦力が違う。2年連続日本シリーズ4タテでの敗北。もうちょっと戦い方はあっただろうと思うけれど、付け焼き刃ではひっくり返せそうもないとも同時に思う。

 

ホークスの選手層の厚さを下支えしているのは、2011年から開始した3軍制度にあると思っている。2020年の日本シリーズロースター40人中7人が育成選手出身で、開幕投手を務めた千賀、2戦目に先発した石川柊太、扇の要甲斐、圧巻のリリーフを見せたモイネロ、スピードスターの周東、ユーティリティプレーヤーの牧原と、スタメンに名を連ねる面々でただの数合わせ戦力ではない。この育成出身者は漏れなく3軍での生活からスタートしており、他の育成選手、ファームの選手との生存競争に勝ち抜いてきた。

 

2011年、ホークス3軍一期生の中には千賀、甲斐、牧原が含まれている。千賀と牧原は2012年に支配下登録を勝ち取ると同時に1軍デビュー、甲斐はそれより2年遅れの2014年に1軍デビューを果たした。

千賀はストレートに魅力があったものの線の細い投手で、一般的なプロの練習にも耐えられないほどだったそう。そのためフィジカル強化を中心に3軍でトレーニングを続けるうちに、140km台だった球速が150km台まで大幅アップしたそう。

さらに千賀は代名詞とも言えるお化けフォークも習得し、チームの看板投手へと成長した。しかしホークスの育成チームは千賀がまだ伸びると信じ、無理な起用は避けて育て続け、結果入団当初に惚れ込んだストレートは160km台に到達。見事に球界を代表する投手にまで至った。

 

千賀のサクセスストーリーを例に見ると、ホークスは3軍をただ組織しただけでなく、選手の可能性や育成目標をしっかりと決めているようだ。読んだ本によれば、2軍で活躍する事を目標とさせず、1軍出場、さらにはそこで主力となることを念頭に育てているらしい。支配下登録で満足しない育成。先に上げた育成出身の面々を見ると、確かにまだ成長する予感はするし、少なくとも来年衰えているという事は考えずらい。

 

さらに言えばその育成選手と比べられる才能豊かな支配下選手達である。こうした下からの突き上げがあるので、入団してあぐらをかいていたら1軍には簡単に上がれないだろう。現にホークスのドラフト選手はデビューに時間がかかっているように思える。成長が遅いといわけではなく、育成選手との競争原理で1軍に上げる判断基準が高く設定されているためだろう。聞いた事のない選手がいきなり他球団のエースから長打を放ったり、打線の主力を力でねじ伏せたり活躍できるのは、こうした土壌の賜物と思える。

 

ホークスに遅れる事5年、2016年に巨人も3軍制度を開始した。実は2011年にもう一つの2軍という名目で現在の3軍の前身はあったのだが、試合をこなすだけの運用になってしまい、人数合わせのために本来のポジションじゃない守備位置につかされるなどの有様で、育成できるような環境を築けず2年で解散してしまっている。

 

2019年にホークスの戦力差を肌で感じた阿部現2軍監督は、「2軍は読売ジャイアンツじゃない。読売巨人“軍”だ」という発言をした。表現はアレだが、打倒ホークスのためには2・3軍の底上げが急務だと実感したのだろうと思う。さらに2020年には血の入れ替えと称して現在の育成選手をバッサリと切り、ドラフトで大量の育成選手を獲得。2021年からは新期3軍として始動する見込みだ。先の2023年には2軍の新施設の完成が予定されており、育成環境のさらなる充実が期待できる。

 

2020年日本シリーズ、育成出身の増田大輝と松原が日本シリーズのロースターに名を連ねた。彼らは巨人の3軍でスタートした選手だ。主だった活躍をするには至らず、これがまだ巨人の育成力の現在地だろう。

怪我で出場の叶わなかったメルセデスも育成出身。他にも堀岡や沼田、ディプランが次代の育成出身選手として控えている。

しかし当面は今まで通りFAや外国人選手での補強を続けて戦力を整えるしかないだろう。新2軍球場のできる3年後までに、現在のホークスと同じくらい3軍制度が機能している事を望む。

 

参考図書

 

 

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