田中俊太獲得に思うDeNAの内野事情
長期化する、若手を取ると想定していた身としてはダブルで予想外だった。FA梶谷の人的補償としてDeNAの田中俊太獲得が早々に発表された。
DeNAはロペスの退団で恐らくソトがファースト固定になるだろう。今年を例に見ると、来年は大和、柴田、倉本で二遊間をローテーションさせる事になりそうなので、そこへもう一枚俊太が加わる形になる。去年のドラ1森や今年のドラ2の牧が若手有望株として控えているので、彼らが鉄板のセンターラインとして台頭するまではこの形で回していくのだと思う。DeNAには兄の田中広輔がFAで出たら獲得に乗り出していたという噂もあったので、即戦力で二遊間を固めたいという思惑は元々あったのだろう。
田中俊太は守備の面で言うと送球が怪しいのでショートには置けないが、ファースト含めて内野はそこそこ守れる選手だと思っている。バッティングは一日一膳タイプで固め打ちはしない印象。当てにいくよりは振り抜く方で、凡退する時は当たり損ないの内野ゴロが多いイメージ。盗塁が成功する時は悠々セーフな印象があるので、個人的にはもっと走る機会があれば面白い選手になると信じている。
しかし現状の俊太の戦績でいうと柴田とあまり代わり映えしないので、プロテクト外で他に候補がいなかったのかな、というのが正直な疑問。湯浅、若林、北村、増田大あたりが選択肢にあったなら、そっちの方がプラスアルファ感が出たとは思う。まぁ今年戦力外になった石川雄洋の代わりと考えれば、戦力バランス変えずに若返りに成功したとも言えるのかな。
あと1点、DeNAが現状の内野強化を考えているなら、巨人を戦力外になった吉川大幾を拾ってあげて欲しい。むしろ彼を先に取っておいて、人的補償はピッチャー取った方が良かったんじゃないかとさえ思える。彼ならショートも守れるし代走出場の経験も豊富なので、DeNAには有効なカードになるはず。
セ・リーグ現役選手ドラフト入団年表(2015年まで)
最近読んだ本の影響を受けて、現時点でのセ・リーグの現役選手をドラフト指名年で年表化してみて、各チームの傾向をみていきたい。
*は移籍した選手で、**は出戻りの選手を表している。現時点で戦力外後に移籍先が決まっていない選手に関しては記載していない。
並べてみると、広島が安定して選手をキープしている事に気づく。2015年でもすでに選手が限られているので、早い段階で見極めて戦力となる選手を絞り込んでいるのだろう。
それに対して巨人とヤクルトがスカスカ具合が著しい。巨人はFAやトレード、外国人選手の獲得に積極的なので、生存競争が激しいが故の結果のように思える。けれども近年はFA人材のメジャー流出などで当たりが少なく、日本シリーズでは地力の差が出てしまって惨敗といった感じだった。
ヤクルトに関してはよく分からず、スカウトがあまり優秀ではないのだろうか。山田、石山、小川に高額年俸で引き留めを図ったが、この表からその3人が抜けたらさらに悲惨な具合になるだろう(小川に関してはまだ未定だが)。
ベイスターズは親会社がDeNAへと変わった2012年以降の選手達が現在の主力となっている。近年ではソト・オースティンと外国人の大砲も当てており、若い打線ながら厚みを出すことに成功している。
中日は昔から生え抜きベテランが結構いる印象。そこに来期から福留が出戻り。契約更改で難航する事がよくあるけれど、それとは別な居心地の良さがあるのだろうか。
阪神は毎年ドラフトに戦力になる投手を1人は指名できてる印象。反面伸び悩む野手が多いのも印象。近年は大山、近本と成長株が現れて、さらに今年の目玉佐藤を引き当てたので、これから投打のバランスが良くなるかもしれない。
梶谷の人的補償、狙われるのは?
12月14日、梶谷・井納両選手が正式に巨人に入団。従ってこの日から2週間後の12月28日までに巨人はDeNAに28人の支配下プロテクトリストを渡し、DeNAは年明け40日後の1月23日までに補償をどうするか回答しなければならなくなった。
菅野のポスティング先が決まればプロテクト枠が1つ空くので、巨人はそれを待ってからDeNAにリストを渡すだろうため、梶谷のFA補償が決まるのは年明けになると個人的には思っている。
28人の予想というよりは、DeNAが欲しいだろうという視点から、人的補償となりそうな選手をピックアップしてみたい。
井納が抜ける事から、右投げの投手が欲しいはず。また、DeNAはあまりベテラン選手を保有しない傾向で、山口俊の時に補償で取った平良が今年大ブレイクしたもあり、その旨味からプロスペクトを取ると予想。
それらを総合すると、堀岡か沼田あたりだろうか。フェニックスリーグでの扱いを見ていると堀岡、井上、横川あたりはプロテクトしそうなので、沼田になるのかなぁと予想。
あるいは梶谷がいなくなる事で、DeNAから盗塁の期待できる選手がいなくなってしまったため、ここを補充しにくるかもしれない。ラミレス政権なら盗塁に重きを置かなかったが、三浦DeNAではどうなるか分からない。となるとイースタンで盗塁王を取った湯浅も狙い目になってくるのかも。
2021年に向けた補強ポイント
【支配下65人の壁】
現状支配下登録選手が60人しかおらず、育成選手を保持するための65人を満たしていない。7月末日までに達成すれば良い数字ではあるが、今冬のFA市場には期待したほど目ぼしい選手が並んでいない。一体何を見込んで多くの選手を切ったのか、今のところ謎のままである。
あと5人、菅野が渡米したら6人、どのように埋めていくのだろうか。
【左過多の外野手】
支配下人数現在8人
亀井、丸、立岡、重信、松原、伊藤
陽、石川
その他ウィーラー若林がレフトを守ったり、ファームで松井義弥が外野守備を試されたりしている現状。支配下に近い八百板も左打ちの外野手。
報道ベースだとFAの梶谷を取りに行くようなので、また左過多に拍車がかかりそう。もし梶谷が加入したら、2019年亀井のような役割を期待したい。
KBOの両打ち外国人ロハスを獲得する報道もあるが、個人的には楽天から自由契約になっている右打ちのロメロを取りに行く方が良い気がする。代理人がエグいので金額ふっかけられる可能性もあるけれど。
【菅野のポスティング】
行くのか行かないのか読めない案件。
FAしてる小川で菅野の代用という話も聞くけれど、全然代えには及ばない。
菅野の代わりに去就未定の田中将大が巨人に来てくれるなら話は別。菅野移籍で浮く6億5千万とポスティングの取り分があれば、2年20億くらいで契約できないだろうか?日テレが嫁さんの芸能界復帰バックアップとかもすれば中々良い話になりそうな予感。
菅野がメジャー行かなければそれはそれでまたローテの軸になってもらえるので安心。
【先発ローテ】
菅野がいないと仮定して、サンチェス、戸郷、メルセデス、今村、高橋、桜井でまわすような想定か。
枚数はいてもイマイチ信用おけないので、FAの井能にアタックしたのは正解。あとは野上の復活や、大竹の配置転換に期待したいところ。
ドラ1の平内が今年の広島森下バリの活躍を見せくれたら大夫助かるけれど、そこまでいかなくとも平内の出来栄えがローテを左右すると予想。
若手の井上、横川にも期待を持っているが、焦らず来年一年もじっくり体作りやフォーム固めをしてほしい。芽が出たからといって使い潰すのには反対。
【ファースト】
何もしなければ中島とウィーラーという選択肢。
ファームに左打ちの香月もいるが、まだ成長過程なので来シーズンは期待はできない。1億ぐらいならボーアを取るのもアリかなと思う。あとは足の具合次第で亀井のコンバートがあるかも。
【ショートのバックアップ】
吉川大幾と山本が抜けたため急に薄くなった感のあるショート。吉川尚輝が次代のショート筆頭だろうが、来年はまだ坂本と二遊間を組むのが基本だと思われる。
この役目のために増田大輝に加えて湯浅が1軍ベンチ入りしそうな気配だが、湯浅はまだ2軍で打撃を頑張ってほしいのが個人的な願い。田中俊太はスローイングが怪しいし、北村と若林のショートは久しく見ていない気がする。守備のしっかりしたバックアップが欲しい。
【捕手4人問題】
大城、岸田、炭谷、小林と、1軍でマスクを被れる人材が増えて嬉しいのだけれど、下で山瀬が良い感じに育ってきているので、この内の一人を2軍に送って成長の機会を奪うという事をしてほしくない。
大城をファーストにコンバートする手もあるけれど、今年の正捕手にそんな事するとは考えづらい。あとは今年活躍できなかった小林を1対2のトレードで出す画策をするか…日ハム、玉井と松本剛とか欲しいなぁ。
【育成外国人】
いつも3〜4人はいたこの枠も気づけば0に。方針転換で今後取らないつもりなのか、はたまた年明けに海外でトライアウト開いて一気に補充するのか気になるところ。
左打ちの内野手か右打ちの外野手の大砲が欲しい。あとは先発のバックアップ要員がいてくれると心強いかなぁ。
プロ野球選手契約関連ルールのまとめ
次の記事のための前準備記事。
【支配下登録選手】
1軍の試合に出場できる資格を持つ選手。各球団70名まで登録が可能。契約期間は最長2月1日〜11月30日。
支配下登録選手になる資格としては、日本人であれば(育成契約含む)ドラフトを経由する必要がある。外国人に関してはこの限りではないが、外国人枠によって1軍の試合に出場させられる人数は制限されている。
12月1日に、球団が次年度も契約を継続する所属選手に関しては、次年度契約保留選手名簿に記載をし公表する。この名簿に記載されない選手は次年度所属先未定の自由契約となり、こちらも公示される。
【育成契約選手】
支配下登録選手とは別に、人数の上限なく球団が保有できる選手。支配下登録選手と同様契約期間は2月1日〜11月30日。ただしNPB公式戦の出場はファームの試合に限られ、そのファームの試合も1試合5名までの出場制限がある。
球団が育成契約選手を保有するためには、7月末時点で支配下登録選手を65名以上保有している必要がある(それ以前は64名以下でも問題はない)。
育成契約と銘打っているが、怪我などで1軍出場を見込めない有力選手の支配下登録枠を空けるために利用される傾向もある。
シーズン中に育成契約の選手を支配下登録する期限は7月末までとなっている(26歳以上の契約初年度の外国人選手は3月末)。なおシーズン中の支配下選手から育成選手への契約切り替えは禁止となっている。
【自由契約と任意引退】
どの球団とも所属交渉をできる状態が自由契約である。ドラフト以外で入団先を探す選手はこの状態になる必要がある。選手の保有権は現所属球団が握っており、基本的には選手自らの意思で自由契約になる事はできない。
プロ野球選手はNPB会社と雇用契約するけれど、所属先の部署(球団)を選ぶ事はできない、というのが分かりやすい例え。
球団の同意を得られない退団は任意引退扱いとなり、その選手の保有権は引き続き現所属球団が握り続ける。つまり現所属球団が当該選手を自由契約にしない限り、他の球団でプレーする事はできない。
引退=休職状態と考えれば、元の部署が所有権を持っているというのもしっくりくる。
【契約更改】
翌年も同一球団でプレーするにあたって年俸をいくらにするか選手と球団で決めること。
契約期間の終わった12月から行われる事が多いが、早々とシーズン終了直後に行う球団や選手もいるため、特に交渉開始時期に決まりはないものと思われる。
交渉終了の期限も定められていないが、2月1日までに交渉がまとまらない場合は、当該選手は春季キャンプを自費で参加する事になってしまう。
有力選手になるとFAでの他球団やメジャーへに流出を防ぐため、球団が高額複数年契約を提示するのがトレンドになっている(複数年契約でも手続き上は毎年契約を結び直している)。
【最低年俸】
育成選手は240万円、支配下選手は440万円。
ただし1軍に150日以上在籍した選手の最低年俸は1600万円となる。
【減額制限】
年俸アップに制限はないが減俸には限度額があり、元の年俸が1億円以下は25%、元の年俸が1億円を超える場合は40%となっている。限度額以上の減俸を提示する事も可能だが、選手が承諾できない場合は球団は保有権を失い、当該選手は自由契約となる。
【年俸調停委員会】
減額制限以外の面で双方折り合いがつかない場合は、年俸調停委員会に調停を申請する事ができる。選手がこの委員会の裁定をも承諾できない場合は任意引退選手となってしまう。任意引退選手の保有権は現球団となるため、自由契約選手と異なり他の球団との契約交渉は行えない。
【戦力外通告】
球団が保有する選手に対し、育成契約含めて来季は契約を結ばない事をあらかじめ通達する制度。戦力外通告を受けた選手は任意引退か自由契約となる。トライアウトなど次の所属先を決める機会を、契約期限ギリギリの解雇通告による準備不足で損なわないための措置である。
戦力外通告期間は2回あり、第一回目は10月1日〜クライマックスシリーズの前日まで。第二回目はクライマックスシリーズ終了翌日〜日本シリーズ終了翌日まで(日本シリーズ出場チームは5日後まで)。
なおこの期間に、減額制限を超えた減額をする選手に対しても通達をする必要があり、その減俸を承諾できない選手も事実上の戦力外通告となり自由契約となる。
【FA制度】
選手自らの意志で自由契約となり、任意の球団と契約交渉を行える権利。1軍の出場選手登録145日を1年と換算し、高卒入団の選手は8年、それ以外の選手は7年経過すると権利を得ることができる。
FA宣言すると、移籍するしないに関わらず1月中旬の公示までは支配下登録から外れる事になる。
細かいルールは下記を参照。