投打ガッチリ3連勝、試合運びから思う事
広島4-9巨人(マツダスタジアム)2020.07.11
快勝。先の2戦と同じく先制逃げ切りを図る巨人に対し、この試合では追いすがる広島。先制、中押し、ダメ押しとホームラン攻勢でしっかり引き離し、最終回にも得点して終始試合の主導権を渡さなかった。
広島の先発は薮田。リリーフから中3日での先発だったので、ショートスターターと目されていた。それにしても先発薮田と対戦するのは凄く久しぶりな気がした。2017年には先発で15勝上げた事もある投手が、今は何でも屋のような起用をされているのだからわからないものだ。
その薮田に対して、巨人打線はストレートを狙い打つかのように攻め立て、大城の今季初本塁打を含む3得点を挙げて早くも主導権を握る。広島バッテリーはその後ストレート狙いを警戒してか、カットボールを軸に組み立てていたが、制球が整え切れず中々苦しそうに見えた。
一方の巨人先発メルセデスは、前回登板と同様調子良さげ。内外に丁寧にコースを投げ分けているのに加え、この試合ではカーブを結構投げていて、それがカウントを作るのに効いていたし、三振まで取れて決め球にもなっていた。今まで軸にしてたスライダーより使えるっぽい?
けれども堂林に対しては歯が立たない様子で、四球、ツーランホームラン、ツーベースとコテンパンにやられた。失点がこのツーランだけだったので、堂林の打順に救われた感はある。
3-2と1点差でどちらに転ぶかわからない状況の6回、広島のマウンドには3番手の左腕高橋樹也が上がっていた。ツーアウトまで取られたところで、7番ウィーラーがヒットで出塁。二死一塁で8番の吉川尚輝。
その次がピッチャーメルセデスの打順だったので、仮に尚輝が得点に至らず出塁という結果だったら代打を送られていただろう。その代打が倒れたら、一点差のままリリーフに託さなければいけないという考えたくない展開が可能性としてあった。
そこへ来ての尚輝の、あれ入るんかという逆方向ツーランホームランである。これ以上ない点の取り方で、再び3点差として主導権を握り、メルセデスに代打を送る必要がなくなって続投も決まった。
その後は岡本の3戦連発弾でリードを5点に広げるも、裏で2番手の大竹が捉まって再び3点差。最終回に代打石川が2点タイムリーを放って再度5点差に広げてゲームセット。リードを一度も許さずに逃げ切って3連勝を飾った。
この試合の分岐点は尚輝のホームラン、と言いたいところだけど、その一つ前の回にあったかなと思っている。
5回、広島はピッチャーが薮田から2番手のケムナに代わっていた。先頭打者の9番メルセデスから3人がかり、計26球投げさせる粘りで一死1・2塁のチャンスを作り上げる。この時のスコアは3-2だったので、何としても追加点が欲しい状況だった。
しかし丸がセンターフライで倒れ、続く絶好調の4番岡本がケムナに手も足も出ずに見逃し三振。広島サイドとしたら勢いづく雰囲気で裏の攻撃を迎えられたはず。
そして広島にとってのチャンスが訪れる。これまで堂林に1つしか与えなかった四球が2つ出て、西川のヒットも絡んで一死満塁で逆転可能な好機が作られた。打席には3番ピレラ。長打なら逆転、犠牲フライ、押し出し、ゲッツー崩れでも同点と、前に飛ばせば何か起きる状況で最悪の三振。それまで外中心に攻めていた巨人バッテリーが、インコース攻めに転じてきたので狙いを絞れなくなった様子だった。ここが堂林だったら違った結果だったんだろうなと思う。
それでもなお4番鈴木誠也の打順だったが、やはり調子が良くないようで、スタンドまでは一歩届かないセンターフライに倒れて無得点。メルセデスが踏ん張りきった場面だった。
この5回裏の満塁の場面、巨人視点からすると意外だったのがメルセデスの続投である。1点差、球数80球近く、四球が出てきた、3番4番を相手、今までであれば交代であろう条件が揃っていた。右が続く場面だったので、大竹か鍵谷にスイッチというのも悪くない選択肢だと思う。けれども続投。そしてメルセデスは期待に応えて無失点に抑え、見事に勝ち投手の権利を得た。
これに限らずだけれど、西日本遠征が始まったくらいから、試合中盤で代打を送りまくったり、先発を早い回で代えたりするのが減っていて、交代の切り方が変わっているように思える。台所事情からなのか、チームの戦略からなのか、指揮官の心変わりなのかわからないけど、今の方がより選手のポテンシャルを測れるのかなとは思う。対して今までのやり方は、たくさんいる選手のその時点の実力・特性をサクッと見極める感じ。
仮にこれが戦略だとしたら、選手の見極めは終わって、あとは伸び代がどれだけあるか試している段階といったところなのかな。相変わらずスタメンはいじりまくってるし、考えすぎかもとは思うけど。
以下この試合のその他出来事をざっくりと。
坂本、ノーヒットも3四球で3出塁。新たな境地か。
丸、2度の送りバント。先の坂本と合わせて繋ぐ2・3番を形成。
ウィーラー、フェンス激突のファインプレー。メルセデスの窮地を救った。
尚輝、ラストアウトでフェンス激突後に倒れ込む。怪我はもう勘弁してくれ。
巨人、9年ぶりのマツダ3タテ。結構前から苦手だったんだね。
以上。