負け試合を土壇場でひっくり返す
ヤクルト5-6巨人(神宮球場)2020.06.26
菅野と石川の開幕投手対決で始まった試合、6回までは息を呑む投手戦だった。
菅野は序盤得意のスライダーを内に外に投げ込みグイグイ押していくようなピッチング。対する石川は、先日の広島九里のように多彩な球種を操り、内へ外へのらりくらりと絞らせない投球だった。
石川について言えば、追い込んでから去年よりもインコースをよく使ってるように見え、その辺はマスクを被っている楽天から移籍してきた嶋の影響なのかもしれない。
巨人が陽のソロホームランで先制し、このまま1点差ゲームで進んでくかと思ったが、6回裏に突如菅野がつかまる。
先頭の坂口を塁に出すと、続く2番山田に外角一辺倒の配球を狙われ、センターに逆転ツーランを打ち込まれてしまう。
それでもまだ2-1だったので後続を締めれば続投できただろうけど、ワンアウト後に村上長打、雄平四球とランナーをためられ、続く山崎に甘く入った初球を打たれて3-1と点差を広げられる。あまりに簡単に追加点が入ってしまい、本当に投げてるのが菅野なのかと疑いたくなった。
なおもランナーが2人残り、7番エスコバーも初球を狙いにくるが、これは打ち損じてツーアウトまで漕ぎ着ける。しかし8番嶋に右中間を破られる2点タイムリーを放たれ5-1となり、菅野はKOとなった。最後の右中間の打球は普段の守備体型なら1失点で済んだかもしれないが、外野前進守備を敷いていたため、丸がゴロの打球を背走する珍しいシーンとなった。
点差が開いたため次の9番石川の打席には代打が送られ、先発同士の投手戦は石川に軍配が上がって幕を閉じる。
けれども試合の幕はまだ閉じていなかった。
ヤクルトの勝ちパターンの梅野、マクガフからそれぞれ点を奪い4-5と追い上げる。
なおも9回、前の回から登場していた守護神石山からワンアントランナー2塁のチャンスを作り、打席には代打で重信。俊足タイプに見えて実はパワータイプの伏兵は、石山の勝負球フォークをすくい上げながら引っ張り、見事にライトスタンドへと運んだ。逆転となる劇的な2ランホームランは、同時に試合序盤で好投していた先発石川の勝ち星をも奪った。
こちらの守護神デラロサは、ランナーは出すものの終始落ち着き集中した様子で抑えてゲームセット。菅野KOからのまさかの大勝利となった。
試合の流れを変えたのは、7回の代打起用から始まったと思える。9番に吉川尚輝、1番に入っていた北村に代打亀井を送り、右偏重打線から左偏重打線へとシフト。さらに初回と最終回の攻撃の打線を比べると下記のように変わっていた。
4北村 7亀井
8丸 -重信
6坂本 6坂本
5岡本 5岡本
7陽 8陽
9パーラ9パーラ
3中島 3俊太
2大城 2大城
1菅野 4尚輝
この変わりようが、ヤクルトの継投に絶対的な左腕がいない面でも有効であったように思える。特に2打席とも出塁した尚輝の活躍は、逆転劇への潤滑油になっていた。
もちろん、菅野の後を無失点で抑えた救援陣の支えが前提である事も忘れない。
以下この試合のその他出来事をざっくりと。
北村、2度目の1番スタメンも結果残せず。四球で出塁できるようになってほしい。
丸、またしても途中交代。本調子が待ち遠しい。
鍬原、リリーフ起用で山田、青木、村上を抑える活躍。
澤村、打者一人にリハビリ登板。スライダーも絡めて三振に討ち取る。ちゃっかり勝利投手に。
デラロサ、秘密兵器のカットボール投げてた。(山田への3球目)
以上。