完敗試合で色々お試し
中日5-0巨人（ナゴヤドーム）2020.07.22
今季初の無得点試合で完封返しを喰らい連勝がストップ。中日先発の左腕松葉を捉えきれずズルズルと7回まで持ち越され、祖父江、福、Rマルティネスから出塁すらできず終了。こちらの投手陣が打たれたのもあるけど、計4安打2四死球では勝ち目の無い試合だった。
松葉はオリックスから昨年移籍してきた大卒8年目の左腕で、大阪体育大学出身のため昨年引退した上原の後輩にあたる。
投球スタイルはスライダーでカウントを作り、ブレーキの効いたカーブとチェンジアップ、内角へのストレートで仕留めるピッチングだった。軟投派のイメージを持たせておいてズバッとインサイドにも決めてくる、捉えどころの難しい投手だった。
元々コントロールはそんなに良くないようで、累計のBB/9は3.57で、巨人でいうと桜井と同じくらいの制球力らしい。けれどこの試合では6回を投げて四球1つ、死球も１つ与えたがユニフォームをかすった程度なので、全体的に制球されたピッチングだった。
多様な球種とゾーンを広く使ったピッチングをされて巨人打線は的を絞りきれなかった。序盤はスライダーを多投していたので、それを狙い打ちしていれば中日バッテリーを苦しめられたかもしれない。
対する巨人先発戸郷は、中日の2巡目から捉まり、3巡目にまわる前の4回で交代となった。不調の要因はスライダーのキレのように思えた。前回の広島戦と比べると変化の幅が短いように見え、空振りも取れていなかった。ストレートとスライダーを見極められてＡマルティネスと京田にフルスイングで持っていかれたように見える。
戸郷のもう一つの持ち味に打たれ強さがあると思っているけれど、京田に打たれた直後に四球と死球を出してしまい、この試合ではダメージが残っている様子。前回100球超投げているので、精神的というより体力的に体が思うように動かなかったのかもしれない。ゆっくり休んで次回登板でリベンジを果たして欲しい。
戸郷の後を受けて高梨がようやく巨人初登板となった。戸郷は2人のランナーを残したが、それを1球で片付けて火消し成功。続く5回のマウンドも託され、大島、阿部、Ａマルティネスを3者連続三振に抑え、これ以上ない出来でデビューを果たした。
球種や組み立て方は中川とほぼ同じで、球速と制球力が低いので、今のところは中川の下位互換といった見立て。投球フォームが森福に似てたっぷり時間をかけるタイプなので、打たれだしたらイライラしちゃうかもしれない。
6回は宮國が難なく抑えたが、7回がちょっと慌ただしかった。
初めにマウンドに上がったのは鍵谷。先頭にヒットで出塁され、さらに2塁に送られて一死2塁。ここから鍵谷の踏ん張りどころ、と思ったら投手交代。左の藤岡がコールされた。
藤岡は井領、大島に連続四球を与えて一死満塁とピンチを広げてしまう。続く阿部に外野深くまで運ばれた打球が犠牲フライとなり、追加点を与えてしまう。ここで投手交代が告げられビエイラ登場。
ビエイラも先頭のＡマルティネスに四球を与えて再び満塁にしてしまうが、福田を力で押し込めて何とか最小失点で乗り切った。
不可解だったのが鍵谷の交代で、そのまま7回は預けても良い場面だった。おそらく藤岡を投入したのは高梨との見比べのためなんじゃなかろうか。前の回に高梨が良いパフォーマンスを見せたので、同じ相手に藤岡はどうなのかなといった具合。結果は当然高梨に軍配。しばらくは回の後ろは藤岡の代わりに高梨が呼ばれるんじゃないかと思われる。
この試合の巨人打線の方は右偏重のラインアップ。中島が練習中に打球が当たったためスタメンから外れ、代わりにウィーラーがファーストに入り、レフトは石川が守る布陣となった。
冒頭の通りの結果なので、この打線は不発に終わったけれど、この試合では7回からウィーラーがセカンドにつく面白い試みがあった。指揮官曰く、ビハインド時の攻撃型オプションの実験らしい。守備機会がなかったので、セカンドウィーラーがどの程度のリスクなのかよく分からなかったけれど、打つ方で本日4タコだったのでそこまでする価値はあるのかなという疑問が残った。
最近の5番打者は大城、亀井、中島が任される事が多く、この試合のように中島にアクシデントがあると、右打者の2番手どうするといった課題が浮上する。陽でも良かったと思うけど、ウィーラーをあえて試してみたのかなという気がする。
総じてこの試合はウィーラーの使い道のお試し要素が多分にあったのかなと思う。セカンドで試したのもポジティブな意味ではなく、去年のビヤヌエバ末期のような扱いに見えたかな。というのもOPSが.604と、長打もなければアベレージも高くないので、キャラクターほど目立った結果を残していない現実。デラロサ復帰の見込みが立った場合、落とされるのがビエイラとは限らないかもしれない。
以上。
