気迫と希薄
阪神2-7巨人(甲子園)2020.08.04
3-2と1点リードで迎えた7回裏、80球程度で完投ペースだった菅野が打球をスネに受けて一時ベンチに下がるアクシデント。治療後に再びマウンドに戻り気合でこの回を3人で締める。直後の8回表、菅野を援護したい打線は北村、丸が連続出塁を果たしクリーンアップへ。綺麗に打って決めたかったところだけど、打ち取られた当たりを阪神の守備ミスのおかげで2点ゲット。最後は大城がタイムリーをキッチリ打ってダメ押し。菅野に無傷の6勝目をプレゼントした。
先発菅野は少し荒れ気味の制球だったけれど、スライダーとシュートを駆使して内外の投げ分けで組み立てている感じだった。
この試合ではランナーを背負う場面が多く、セットポジションで投げてる印象が残る。けどランナーは出しても進塁は許さないのが流石で、6回まで2塁を踏まさない安定した内容だった。
しかし6回にランナーを出した後、サンズに得意のスライダーを捉えられレフトスタンドに運ばれ2失点。菅野が伏兵にホームランを打たれるのはよくあるけれど、3番バッターに決め球をしっかり打たれるというのは中々珍しい場面。中継の実況によれば、サンズはスライダー打ちが得意らしいので、菅野にとって要注意打者が現れた事になる。
後続を抑えて仕切り直したい7回にはアクシデントが。先頭の梅野のセンターに抜けるかという打球を右足でブロック。落ちたボールを掴んでファーストへ送球しアウトを奪う。しかしマウンド上の菅野がうずくまる状況。スネに当たっていたので耐えられない激痛が走ったのだろう、抱えられながら一旦ベンチに引き下がる。よく送球できたなと思う。
球数がまだ80球台だったので、ブルペンでは誰も用意していない状況。肩を作るのが早い鍵谷に代わるのかなと思っていたら、しばらくして菅野が再登場。痛みを無理矢理抑えて出てきたのでだろう。その後の投球を見る限り、影響無さそうに見えるけど実際のところが気になる。負傷後に変化球が低めにバッチリ決まるようになったのは、この場面で意識を集中させた結果だろうか。
一方打線の方は、阪神先発ガルシアからヒット5本奪い、その内4本が長打という内容。点に結びついたのが坂本と北村のソロホームランと、大城ツーベースの後の丸のシングルヒット。5安打3得点なので効率が良いっちゃ良いけど、ホームランで1点ずつしか取れないのが勿体ない感じ。5番以降のウィーラー、中島、陽のオッサントリオが出塁してればもうちょっと楽になったのかな。中でも陽は2三振した後松原に代えられていたので、ちょっと立場が危うい模様。
6回から登板した望月には2イニングをパーフェクトに抑えられてしまう。しかし菅野が気迫のピッチングを見せた直後の8回、3番手馬場の制球が安定していない事もあり、北村のヒット、代走増田の盗塁、丸の四球で無死1・2塁のチャンスが訪れる。
打席の坂本は送りバントの構え。菅野があの状態で投げきったので、何としても追加点を取りたい現れに思えた。けれど見逃しとファールでツーストライクと追い込まれてしまう。ここでヒッティングに切り替え、馬場が投じた4球目のスプリットを引っ掛ける。最悪のピッチャーゴロでゲッツー、と思ったらすでに1塁ランナーの丸が2塁ベース付近に。馬場がそれを見て慌てたのだろう、2塁への送球がそれて後逸し、ボールがセンターへ点々と転がる。その間に2塁ランナー増田が生還し4-2、無死1・3塁となおもチャンスが続いた。
続く岡本は凡退し一死2・3塁。5番はウィーラーから途中交代していた重信が引っ掛けてショートゴロ。しかし前進守備を敷いていた木浪がボールを弾くエラー、3塁ランナー坂本が悠々生還で5-2となった。
このプレーも前のプレーもエンドラン(ゴロゴー)が出されていた様子で、それに慌てた阪神守備陣がエラー連発で自滅といった構図。増田の盗塁の際はボールをこぼしたり、この前の回でもボーアが飛び出してアウトになったり、後の回でも暴投があったりと、阪神サイドの荒いプレーが目に付いた試合だった。そのおかげで負傷した菅野を下げられる展開になったので、こちらとしては助かるけれども。
エースの気迫と阪神サイドの希薄な守備で初戦をものにできた。次戦はかなり久しぶりの藤浪が登板するので、勝つ事より何事もないのを祈っている。
以下この試合のその他出来事をざっくりと。
北村、プロ初本塁打&第一子誕生。おめでとう!
若林&沼田、昇格。沼田はまだ早い気もするけど頑張れ。
高梨、パーフェクト継続中。どこまで続くかね。
以上。
雑記2020.08.04
サンチェスの代役に畠が抜擢され、良い球を投げていたけれど危険球退場という何とも言えない結果に終わる。
また新たに桜井が要調整ということで離脱。その穴埋めには今村と鍬原の名前が上がっているけど、この際二人とも上げて今度の日曜日は二人に試合を任せれば良いと思う。というのも桜井のみならず、高木までも抹消され枠に余裕が生まれたからだ。
高木の抹消に関しては予兆があって、1週間以上も登板を回避し、日曜日の投球も彼本来のものとは思えない内容だったからだ。幸い、高梨と大江が十分戦力になっているので、高木抜きで勝ってこれた事もあり、ひとまず今の時点での離脱はダメージ少なめ。ただそのしわ寄せが他にいって新たな怪我人発生に至らないかという不安はある。特に大江の使われ方が結構荒いので、慣れていない1軍の環境でコンディションを落とさないか心配である。
打線の方は坂本が復調したので、これから3割に向けて安打量産してくれると願っている。丸も調子上げてきてる様子。分からないのが岡本で、打つときは大きいの、打たない時は全くダメと、開幕ごろの打撃内容と随分様変わりした。得点圏の時は軽打で追加点というのを以前はやっていたと記憶してるけど、最近は代わりに三振が増えてる印象。バッティングフォームの維持を優先して軽打を止めたのかな。
1番バッターに関しては元気な38歳亀井が務める事が常態化している。亀井を休養させてパーラを試してみたもののハマらず、次は松原か重信あたりにお声がかかるのかな。尚輝は8番で使われる事が当たり前になってきて、1番バッターとしては見限られてるのだろうか。北村だけが対左の時に1番起用される傾向なので、今週だとガルシアとか大野が先発の時には抜擢されるかも。
5番バッターは大城か絶好調ウィーラーが相手の左右によって選ばれてる印象。大城はホームラン打ったけどまだ本調子じゃない印象はある。一方のウィーラーは元気爆発で、今は打席でも期待感が持てる。勝手に頑丈そうなイメージ持ってるけど、ハッスルプレーで怪我しちゃわないかな。
怪我で復帰が待たれる投手陣としては、デラロサ、サンチェス、高橋優貴、戸根あたりがいるが、今のところ復帰の目処は立っていない。この辺が戦力になってくれば、投手層は安泰になってくるはず。
一方の2軍の野手陣はイマイチなので、そっちの底上げは期待できない感じ。山下が復帰すればあるいはだけれど、長い事実践復帰の報がないので今年は無理なのかな。
小林が調整中なのを今になって思い出したが、存在を忘れるくらい1軍の捕手って今充実してるんよね。岸田も何だかんだヒット打ってるけど、小林復帰したらやはり落とされちゃうのかな。それ以上に不遇なのが2軍で打撃好調の田中貴也で、ここに来て何か開花した感がある。こっちこそ小林復帰したらノーチャンス。勿体ないのでチャンスを広げるために、内野守備の練習もしとけばお声がかかるかもしれない。セカンドできないかな?
以上。
【独自指標】火消しポイント更新(2020.07.28~2020.08.02)
先週一週間の火消しポイントを集計。今回は累計の状況別火消し成功率をピックアップ。
火消し投手:前任の投手がランナーを残した状況で登板した投手
成功条件:一人もランナーを返さずに自分でその回を終わらせる事
(火消しポイントについては下記記事参照)
【先週の火消し結果】
ヤクルトの左腕長谷川宙輝が7月29日の阪神戦で一死満塁の火消しに成功。長谷川は昨年までソフトバンクの育成だった選手で、21歳とまだ若い。ヤクルトは以前から左のセットアッパーが不足していたので、今年から彼と中澤とを重要な場面で使って成長させようとしている節がある。
前回ピックアップしたオリックスの荒西は、先週さっそく火消として2試合に登板しているが、今回はあまり芳しくない結果だった模様。あと楽天とロッテのカードが互いに火消し投手をつぎ込んでいて総力戦だった様子。
【累計火消しランキング】
DeNA石田が順調にポイントを稼いで2位浮上、一方西武の平井が先週は火消登板が0で、勝ちパターンの方に回っていたためか。代わりに西武の左腕小川が地道に火消しを続けてランクインを果たす。
1つ悲しいお知らせがあって、この企画のきっかけとなった高木が抹消されてしまった。1週間以上投げていないので何かあるんだろうなと思っていたら案の定。正式なアナウンスはまだだけど十中八九どこか痛めたのだろう。
【累計状況別火消し成功率】
状況別の火消し成功率をピックアップ。
全体的にツーアウトでの火消し投入と成功数が多い様子。あと一人ならその投手に任せればとも思うけど、右左スイッチとかして万全を期しているのだろうか。
反対にノーアウトではほとんど投手を代えない傾向。火消しの成功率を見ても低いから、リリーフ無駄にするより本人に何とかさせるのがましなのかもしれない。
以上。
(カープの)打線解凍リリーフ温存
巨人2-9広島(東京ドーム)2020.08.02
前日とは反対の試合内容で敗戦。リリーフを浪費していたカープにとっては願ったり叶ったりだったのではなかろうか。巨人にとっても広島打線を温めて2位ヤクルトに受け渡すので、そう悪い事ばかりでもないはず。ポジティブシンキングって大切。
先発は桜井と遠藤。6月25日(5-5)に対戦していて、約1ヶ月ぶりの顔合わせとなった。前回は遠藤の方が球数をかけすぎていたために桜井より早く降板したけれど、内容としては五分といった感じだった。
今回は内容も結果も違いがハッキリしていた。
桜井は先週の登板から引き続き冴えない出だし。ただ今回は徐々にペースを掴みだすという事もなく、ボールは高く浮くわ逆球は多いわで3回で早々と降板となった。
受けるキャッチャーが大城という影響があったのかもしれないけど、制球の酷さが収まる気配がなかったので桜井自身が負う所が大きいだろう。困った時の頼みのカーブも、坂倉に2打席連続で長打を打たれて救いようがない感じだった。
試合後に桜井の降格が発表れたが妥当なところ。7月2日のナイスピッチング以降、徐々に調子を落としている感じだったので、連投の疲れが抜けていないのだろうと思う。戸郷より先にリタイアするのが情ないところだけど、今年は総力戦なのでキッチリ調整し直してまた戦力として戻ってきてほしい。
対して広島遠藤は序盤からペースを掴む事に成功。徐々にチェンジアップの精度を上げていき、ストレートでフライを打たせ、チェンジアップで空振りとゴロを量産する投球で巨人打線が抑えられ、結局2失点のみの無四球完投を許してしまった。
コントロールが良いピッチャーという訳でもないので、待球策をとるとかカットして粘るとかすれば活路を見出せたかもしれない。
そんな遠藤に対してほとんど何もできなかった打線の方は、1番にパーラを置く打順を組んできた。パーラが、というより、亀井を休ませるのが第一で、その代わり誰にするかなぁで、パーラ試してみるかってなったんだろうと思う。
これが大ハズレで、途中出場して9番に入った松原が貴重な出塁を2回も果たすのだけれど、続くパーラが2回とも凡退に終わる始末。
改めてパーラの成績を見てみたら、出塁率が.347で悪くないんだけど、打率が.305というのを考えたら微妙な数値。で四球を見てみたら、100打席近く立っているのに6個しか取れてないのね。なので打てる球をどんどん打ちに行くタイプで、成績的には広島のピレラに近い模様。彼も始めは1番を任されていたけれど、いつからか諦められているので、パーラもフィットしない公算が大きいだろう。
亀井の代役探しが暗礁に乗り上げそうだけれど、そろそろ尚輝を1番に戻す頃合いじゃないかなぁ。あるいはこの試合2安打した松原に次の白羽の矢を立てるのかな。
最後に3失点してしまった田中豊樹について触れておきたい。ここのところ良い結果を出せていないけれど、ファームの時と比べて投げ急いでいるような印象を受ける。全体的にコントロールが荒れているけど、特にフォークの制球が酷い。1軍に来てまだ1球もまともに投げられてないんじゃないかな。
2軍の時のような落ち着きを見せられるようになれば、もっと良いパフォーマンスを発揮できるはず。こんなもんじゃないっていうのを多くの人に見せつけてほしい。
以下この試合のその他出来事をざっくりと。
大江、今季最長2.2イニングを任される。完全に便利屋扱い。
高木、久々の登板。暴投や四球出すあたり本調子じゃないのかも。
パーラ、ベアハンドキャッチでファーストゴロを狙う。なお狙われたのは長野の模様。
以上。
打線解凍リリーフ温存
巨人11-3広島(東京ドーム)2020.08.01
リリーフを費やした夜から明けてこの日はデーゲーム。投手をつぎ込みたくないため、大量得点か先発が長いイニングを投げてほしかったところ、両方が叶ってしまい楽勝でカード勝ち越しを決めた。
試合の趨勢を決めたのは3回の勝ち越しの場面だろう。1-1と同点の3回裏、先頭打者亀井が長打で出塁。坂本が四球で続いて無死2塁となって3番の丸を迎える。丸は初球をセーフティバントして一塁側へ転がし、その打球をファースト松山が捕球後に悪送球してしまい、ランナーがそれぞれ進塁。セカンドランナーの亀井がホームを踏んで勝ち越し成功となる。この締まらないプレーの後、残ったランナーをウィーラーと中島が返して1-4とリードをさらに広げる事になる。
このプレーに代表されるように、この試合の広島からは全体的に緩んでいるというか、精彩を欠いているような印象を受けた。先発した田口も毎回ランナー出す展開だったけど、カープ打線が早打ちで尽く凡退してくれるので、失点にはならないんだろうなという心地でずっと見ていられた。
田口自身の出来は、ファームでの調整登板の時と同様丁寧にコントロールされていて、本来の実力を出せているように見えた。
あまり効果的に使えてるようには見えなかったけど、カットボールも投げていたようだ。田口はスライダーとカーブぐらいしか投げるボール無いと思っていたけど、チェンジアップ、フォークと年々使う球種が増えてるようで成長を続けている事が伺える。一番の武器はスライダーなので、それに悪影響がでなければ良いなと思う。
そして低迷していた打線がこの試合で一気に爆発。スタメン野手全員安打を達成し、ウィーラーさんと中島の5・6番コンビが揃って猛打賞を達成。チーム全体で14安打11得点と効率よく攻撃ができていた。その最たる源泉が6回の岡本の満塁ホームランだろう。
1-5で迎えた6回裏、マウンドには3番手のケムナが上がっていた。先頭の8番岸田がヒットで出塁すると、送りバント、四球、ヒットで一死満塁の状況を作り出し、3番丸が1度もバットを振ることなく四球を選んで押し出しで追加点。
そして4番岡本がファーストストライクを捉えてレフトスタンドへ運び、自身初となるグランドスラムが生まれる。外の変化球を無理やり引っ張ったように見えたので、ゾーンに来たらフルスイングと決めて振った結果に思える。
この回で2イニング目になるケムナは、亀井に与えた四球のあたりですでに限界なように思えたけど、カープサイドは続投という判断を下した。火消しポイント何て集計しているから分かるけど、佐々岡采配においては投手の途中交代は滅多に行われない。投手節約のためなのか、修行の一環としてなのか意図は分かりかねるが、おかげでケムナの防御率はこの試合で大きく悪化した。
前日も森下が5回で退いているので、広島ベンチとしてはリリーフの台所事情がキツイところだろう。次の試合の先発遠藤は無理にでも引っ張るんじゃないだろうか。そうなると巨人側は待球策をすると効果的なように思えるけどどうだろう。
とにもかくにも、ワンサイドゲームでリリーフを温存できた上に、低迷していた打線にも活が入り、巨人にとってはとても有意義な試合だった。それでもなお高木を登板させない不安が残るのだけれど、無用な心配だろうか。
以上。