勝利を掴んだ攻守の満塁
巨人11-1阪神(東京ドーム) 2020.06.20
先発に返り咲いた田口と岩貞の左腕対決は、両投手とも主審の辛目のコース判定との戦いのようだった。
先にピンチを迎えたのは田口で、3回にヒットと四球でツーアウト満塁の場面を作る。この日の田口はストレートが暴れてしまっていたが、代わりにスライダーのキレが良く、このピンチも4番のボーアに対してスライダーを駆使して無失点で切り抜けた。
次いで4回には岩貞がピンチを迎える。ワンアウト3塁から4番の岡本にタイムリーを打たれて2-1となってから突如制球が乱れ出し、後続の打者3人に四球2つでツーアウト満塁の状況となる。打席の8番炭谷にもスリーボールから入る苦しい投球で、修正するきっかけを掴めず結局四球で押し出し追加点を与えてしまう。
この日の岩貞は、左打者に対してはストレートとスライダーのコンビネーションという軸が見えたが、右打者には多様な球種を駆使する反面軸となるコンビネーションが良くわからなかった。セオリーならアウトローへのチェンジアップだと思うけど全然投げなかったし、思うところがあって何かを模索中なのだろうか。
満塁の場面は7回にも双方に訪れる。
3ー1のスコアで前の回の澤村からビエイラがマウンドを引き継ぎ、7回の方程式のテスト然とした状況となる。程良いストレスのかかった場面でビエイラはしかし期待に応える事は出来なかった。ストレートが全くコントロールできず、ヒットと四球でツーアウト満塁で、またも4番のボーアを迎える状況を作ってしまう。
さすがにこの状況でまでテストを続行する訳にいかず、ベンチは火消しに定評のある左の高木へとスイッチ。そして期待通りボーアを遊び球なしで三振に打ち取る事に成功する。こういう場面は今年も高木に委ねよう。
一方追いつく機会を逃した阪神は、表の攻撃で岩貞に代打を送っていたため投手交代。ドラ6ルーキーの小川を送り込んできた。点差をつけられたくない状況だろうと思ったので、経験のある守谷か能見あたりに代えてくると踏んでいたため意外な起用だった。
よほど期待のできるルーキーなのだろうと注目していたら、ストライク入らない、マウンドでコケる、バント処理をミスるなど、いかにもルーキーな振る舞いのオンパレードでノーアウト満塁の場面を早々に作ってしまう。
吉川尚輝を三振に抑えるも、続く球界を代表する強打者坂本に対し、追い込んでから首を振っての外のカットボールを外野に運ばれて失点。その後も満塁の状況を脱する事ができずに降板し2失点、プロのレベルを味わうほろ苦デビューとなった。
火消し役を任された谷川にも巨人打線は手を緩めず、結局計8得点して11-1としてゲームを決めた。
2度の満塁のチャンスを不意にせず、2度の満塁のピンチを乗り切って、流れを相手に渡さずに勝利を掴めた試合だった。
悪材料としてはリード時にビエイラは起用できないと分かった事だけど、外国人枠に余裕を持たせる余地ができたとも考えられる。7回はとりあえず澤村か鍵谷で十分でしょう。
勝ち越しを決められたので、次の試合はある程度余裕を持ってサンチェスの見極めに当てることができる。坊主にして気合を入れたみたいだし、良い意味で手の平返しさせてもらえるピッチングを期待したい。
以下この試合のその他出来事をざっくりと。
坂本、あとホームランのみのサイクル未遂。出遅れも無く驚異の2番として活躍中。
岡本に初安打初打点。次は初アーチを期待。
パーラ、待ってましたの特大アーチでパワーも証明。そしてデカシャークダンスを披露。
亀井の代わりにスタメン起用の陽、早速打点を上げてアピール。
丸、打点を上げるも未だにノーヒット。まぁ気長に待ちましょう。
阪神マルテ、驚異の打率.750。低めの選球眼が良いので要対策。
以上。